「中学校通信教育課程の全課程を修了したことを証する」 先月、東京都千代田区立一橋中学校で卒業式が行われ、通信制中学で学ぶ3年生6名に卒業証書が手渡された。 一橋通信制中学では、戦争や病気、経済的な理由から義務教育を終えられなかった人たちが、月2回行われるスクーリング(面接授業)とレポート提出(報告 課題)で、国語、数学、英語、理科などを中学生として学ぶ。義務教育のため、授業料は無料、教科書も無償で支給される。生徒は最高齢81歳から最年少は 32歳まで、平均すると63歳を越える。中には、「大きな揺れに驚いて、庭の柿の木にしがみついていました」と歴史の教科書にも書かれてある関東大震災の 生々しい体験談を語る女性もいる。 卒業式の日、答辞を述べた71歳の男性は「子供時代、勉強が嫌いで父親に迷惑をかけたが、これでやっと親孝行ができました」と涙で声を詰まらせていた。 「学ぶことに卒業はない。さらに新しいことを学び、自らの可能性に挑戦してください」と校長先生からの式辞が卒業生に送られた。
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