少年犯罪のたびに、世間は何か恐ろしいものでも発見したかのように事件を報道する。 しかし子供たちは大人を見て育っていることを忘れてはならない。決して突然変異したわけではなく、大人たちがそのような社会を作っているのだ。親の養育 能力や社会の需要度が低下して、子供を受け止める場所がなくなっている。少年犯罪を犯した子供たちは加害者であると共に被害者でもある。 刑法の責任年齢(14歳)未満の子供は家庭裁判所の審判による保護処分のひとつとして児童自立支援施設に入所する。かつては感化院、そして少年教護院、 教護院と名称を変えてきた児童自立支援施設だが、ここは少年院と違って懲罰を科すところではない。寮長や寮母さん、職員が親身に世話をする家庭的な温かい 雰囲気のなかで、規則正しい生活を身につけさせ、社会に復帰させることを目的とする。 早朝の起床から清掃、駆け足、朝食、そして施設内の学校での授業、午後にはクラブ活動もあり、帰寮後は夕食、自習、反省会と日課がたっぷりと詰まっている。 寮舎には小学生から高等部までの幅広い年齢の子供たちが一緒に生活をする。喧嘩もするが、互いに助け合いながら連帯感を育てる。 全国には約60箇所に施設(国立、公立、私立)があり、約2000人が入所している。最近では被虐待児童の占める割合も多くなっている。犯した罪を責め ることよりも、なぜそこまで追いつめられたのか、家庭や学校、それに地域までを含めた問題として取り組まなければ何の解決にも繋がらないだろう。
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