(23)君死にたまふことなかれ
「門松は冥土の旅の一里塚、めで度くもありめで度くも無し」とは一休和尚の有名な言だ。正月だからといって浮かれてばかりはいられない。様々なアンケート調査を見ても決して世の中は良い方向に進んでいると考えている人は少ない。 いつのまにか戦争を知らない世代が盛んに憲法改正を策動する。「アメリカの押しつけ憲法」だとか「国際貢献」だとかもっともそうな理由をつけているが、先の大戦で官民合わせて200万人以上の尊い命と引き替えに得た事を忘れているのではないか。 国際平和を唱えながら、今、この瞬間も海外派兵された自衛隊は戦地にある。イラク派兵に賛否両論があるのはわかる。実態を知りたければほんの数時間滞在する観光旅行ではなく、最悪の事態が起これば自分が殺されるか、イラク国民を殺す心配に悩みながら銃を構える自衛官たちと一夜を過ごしてみるべきだろう。 兵隊は政治家の玩具ではない。 「殺すな、殺されるな」創立から50年、その間一度も実戦を経験してこなかったを自衛隊は誇りにすべきだと思う。戦地にある同期たちを思いながら与謝野晶子のあまりにも有名な詩を紹介したい。
君死にたまふことなかれ (旅順の攻囲軍にある弟宗七を歎きて)
ああ、弟よ、君を泣く、 君死にたまふことなかれ。 末に生れし君なれば 親のなさけは勝りしも、 親は刄をにぎらせて 人を殺せと教へしや、 人を殺して死ねよとて 廿四までを育てしや。
(中略)
君死にたまふことなかれ。 すめらみことは、戦ひに おほみづからは出でまさね、 互に人の血を流し、 獣の道に死ねよとは、 死ぬるを人の誉れとは、 おほみこころの深ければ、 もとより如何で思されん。
2005年1月
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